徒然カオスエンジェルズ
(第一章)
メインメニューにもどる
第二章へ
第三章へ
第四章へ
2005/06/04
主人公登場
何処までも果てしなく続く、北の砂漠。此処にはかつて、「北の国」があり、隆盛を極めた。
だが突如として王国は滅び、今ではその繁栄に思いを馳せる事すら不可能な、只の砂漠となっている。
所々にオアシスは点在しているものの、周りには何も無い。
生息するのは苛酷な環境でも生き延びる事の出来るサンドワームなどの数種のモンスターのみで、人間の生活できる場所など無い。
その砂漠を歩く人影がひとつ。何も無い砂漠を彷徨うでなく、目的地を定めて意志を持って進んでいくように見えた。
彼の名はアスキー。西の国出身の若き剣士である。
数年の間南の国で傭兵をしていた、それなりの実力と実績を持つ青年であった。
2005/06/05 塔出現
アスキー「どわっ!」
強風で砂が舞い上がる。アスキーは砂に埋まった!
アスキー(子供の頃、近所の海水浴場で砂に埋められたのを思い出すなあ…
人を埋めたまま悪友どもは帰っていったっけ…
満潮が近づくにつれて波が自分に近づいて来た様は今思い出しても恐ろしいなあ…)
アスキーは実に阿呆らしい事を思い出していた。
アスキー(だが、ここで死ぬわけには行かない! 俺はウロボロスの塔に挑み、最上階を極め全ての色と欲を手に入れるんだ!)
アスキーは砂中から這い出した。丁度、月は天頂に達していた。
アスキー「・・・!!」
剣士は驚愕した。目の前に神秘的な外観の塔の姿がうっすらと浮かんだかと思うと、それは瞬く間に現実のものとなり目の前に出現したのだった。
アスキー「これが・・・ ウロボロスの塔・・・!?」
2005/06/05 キャンプ設営
アスキー「なんてこった… ほんとに月が天頂に達すると出現するとは…」
吃驚した顔でアスキーは呟いた。辺りを見回すと丁度よく、塔から程近い場所にオアシスがあった。
アスキー「よし、此処を根城にして塔に挑戦することにしよう」
アスキーがテントを組み立てている間に月は傾いていった。
発見されてからほんの30分も経っていないが、塔はまた姿を消した。
アスキー「…明日にはまた現れるわけか。どういう仕組みなんだろう?」
2005/06/06
塔侵入
次の日。アスキーは塔が現れるのを待った。月が天頂に達すると塔はぼんやりと現れた。
アスキー「よし、じゃあ入るか。この魔法の鍵があれば…」
アスキーが鍵の魔力を解放すると、彼の身体は塔の中へ吸い込まれていった。
アスキー「これって、本当に鍵なのか? 扉開けるという役目は果たしていないぞ…」
2005/06/06
左の壁に落書きがある。
塔の中は思ったより過ごしやすく、空気の流れもあるのか埃っぽいと言った事は無い。
可視できるぐらいには明るく、用意しておいたランタンを使う必要も無さそうだ。
と、装備を確認しようと左手の壁に手をついた時、俺はそこに何か書かれている事に気づいた。
アスキー「これは……先人の残したメッセージか」
一通り文章を流し読みする……が。
アスキー「……………何処の国の言葉だ、コレ」
それは俺が今まで見たことも無い言葉で書かれていた。
生憎俺の装備にはロゼッタストーンも翻訳コンニャクも無い。
ましてや俺は戦士。知性にパラメータを振った覚えなど一度も無い。
アスキー「なんか色々書いてありそうだが……ま、いっか」
あっさり解読を諦めると俺は時折書かれた壁の落書きを無視し、
ゆっくり奥へと進んでいくのだった。
2005/06/07
モンスター!
しばらく歩くと、いきなり目の前を鋭い鞭のようなものが走った。
アスキー「!!」
流石、腕っぷしだけで世の中を渡り歩いてきた剣士である。アスキーはそれをすんでの所でかわした。
アスキー「何者っ!?」
おおさそりがあらわれた!
アスキー「… どのへんが?」
確かに目の前にいるのは異様な衣装に身を包んだ美少女である。
2005/06/07
やっぱりモンスターなのか
アスキー「これは女の子だ。大さそりではない。俺は剣士だが女の子に向ける剣など持っていない。」
大さそり「○×+*¥$!」
アスキー「可愛い女の子よ、俺は敵ではない、話し合おう」
大さそり「#%&@”!」
大さそりの攻撃! アスキーは2ポイントのダメージを受けた!
アスキー「いだだ。チッ! 駄目だ、話が通じない!」
2005/06/08 仕方なく戦う
アスキー「仕方ない! くらえっ、みねうち!」
ボコッ
大さそりに1ポイントのダメージを与えた!
アスキー HP:18 大さそり HP:9
2005/06/09 死闘
大さそり「>≦〜♪Ψ!!」
大さそりの攻撃!
グワシャ!
アスキーは3ポイントのダメージを受けた!
アスキー「ぐほっ! …やるじゃない!」
アスキーは鼻血を流しつつ強がった。
アスキー「雲のアスキー、いくぜ! ギャラクティカみねうち!」
ボコッ
大さそりに1ポイントのダメージを与えた!
…
…
…(エルフのゲームふうに)
アスキー HP:3 大さそり HP:3
アスキー「…もしや、押されてる!?」
2005/06/09
終戦
アスキー「愈々本気出さないとまずい! 悪く思うなよ! くらえ、ノートラップランニングボレー隼みねうち!」
ドコン
大さそりに2ポイントのダメージを与えた!
大さそり HP:1
アスキー「げっ!」
大さそり「☆!」
大さそりの攻撃! アスキーは3ポイントのダメージを受けた!
アスキー HP:0
アスキーは死んでしまった!
2005/06/11
アスキー一生の不覚
アスキー「ぐっおお!!」
大さそりの鞭が、アスキーの喉元に突き刺さる。
鮮血が塔の壁に床に、噴水のように舞い散り朱に染める。
アスキーのしつこいみねうちを受け続け、大さそりの疲労も極致に達しつつあった。
だが、執念の一撃はアスキーの急所を見事に突き貫いた。
大さそり「…‡▼♭!?」
アスキー「…こ、こんなことなら… 雪崩…みねうちに…しとけば… ごほっ! …よかっ… た…」
アスキーはその場にドゥと倒れ臥した。
アスキー(…俺はここで死んでいくのか…?)
目の前が暗くなっていく。
自分の血が辺りに広がっていくのを目の当たりにしながらも身動きの取れぬことを忌々しく思いながら、アスキーは気を失った。
2005/06/12 ふぁーすとこんたくと。
暗闇の中をアスキーは漂う。
(……俺は……死んだ、のか?)
全身から血が抜けていく。体温が下がり、指一つ動かない。
(俺は……死ぬのか……?)
『んー、まだじゃない?』
人のモノローグに突如割り込んでくる言葉があった。
をいをい。ここから俺が心で(死ぬのはいや、死ぬのはいや)で呟いた挙句、暴走しながら再起動で敵を撃破って展開が普通なんじゃないのか?
そんなツッコミをものともせず、声は軽い口調で続ける。
『とりあえず治療しとくか。……エクスヒール!』
あっさり治療され意識を取り戻すと、目の前には緑のローブを着た骸骨がしゃがみこんでアスキーを覗き込んでいた。
「ΩΘψ△?」
「……?」
『言葉わからない?』
「今のはわかった」
『コレはテレパシーだから。……仕方ない、確かペットと会話できるようになる薬とか昔作ったよなぁ?』
骸骨はなにやら懐から紫色の薬を取り出すとアスキーに飲ませた。
「これでどうよ?
私の言葉、わかる?」
「全然わからん」
アスキーの反応に骸骨がにっこり笑う(多分)と
「わかってんじゃん。よし、人体実験成功」
ふざけた事を言ってのけた。
2005/06/13
骸骨の正体
アスキー「まあ、取り敢えず命拾いしたって訳か。この塔の言葉も解る様になったみたいだしな。ガイコッツよ、礼を言うぞ。」
アスキーは敬礼のポーズを取って骸骨に感謝を伝えた。
骸骨は満更でもなさそうな表情(だと思う)で、手を振った。
骸骨「薬が人間にも効くって事も発見できたし、お互い様よ。初の試みだったのよね。
それに、無闇に人が死んで行くのを放って置くのも寝覚めが悪いし… でもねえ! 骸骨は失礼じゃない!?」
多分、ちょっと拗ねている。
アスキー「が、骸骨じゃないのか…?」
骸骨はぶんぶんと大袈裟に首を振って、高らかに宣言した。
骸骨「ノーーー! 私はリッチ! 骨なんかと一緒にしないで! 黒白の上位古代語魔法を極めし孤高の存在!」
アスキー「は、はあ…(でも骨じゃないか!)」
2005/06/14
ひとまずのお別れ
リッチ「さぁて… じゃ、私は行くよ」
リッチ(とアスキーは思うことにした)は壁に立てかけてあった巨大な大鎌をひょいと軽々担ぐと、アスキーに別れを告げた。
アスキー「それ… 重くないのか?」
リッチ「だから言ったでしょ、私は魔法を極めたの。極めるどさくさでこんな見た目になっちゃったけどね。
この鎌には軽量化のエンチャントが施されてる。多分、アンタの剣より軽いよ」
くるくると、大鎌を回してみせる。
アスキー「へえ… まあいいや、お別れだな。あんたはこれから何処へ行くんだ?」
アスキーは命の恩人(?)に訊ねた。
リッチは首を傾げると、少し考えてからこう言った。
リッチ「私が居るべき場所へ… アンタがもっと強くなったら、また会えるかもね」
リッチは魔法を唱える。リッチの周りをオレンジ色のエネルギーが渦巻き始めた、瞬間移動の魔法なのだろうか?
アスキー「えっ… それってどういう意…」
アスキーが言葉を掛け終わるのも待たずに、リッチは軽くウィンク(したような気がする。骨がウィンクしても気持ち悪いだけだが)し、姿を消した。
アスキー「一体なんだったんだ…」
2005/06/15
どうしたものか
アスキーは暫く歩いた。すると…
遠くに女の子が見える。あれは… 包帯を全身に巻いた女の子だろうか。
女の子を観察するときは視力6.0を誇るオスマンアスキー。
アスキー「あれは… 可愛い。85点だな。よし、言葉が通じるようになっているはずだから近づいてみよう」
女の子はこちらの様子を伺っているようだ。
アスキーが近づこうとすると、身体に巻いている包帯の両端を手に長めに持って身構えた。
アスキー「女の子よ、俺は敵ではない。話しあお…」
マミーが襲いかかって来た!
マミーは、手に持った包帯をリボンのように自由自在に操ると、アスキーに向けて投げてきた。
アスキーの剣を持つ右手に、包帯が巻きつく。
アスキー「どわっ! ま、待て、俺は敵じゃ…」
マミーはもう片手の包帯をアスキーに発射する。こちらの包帯には鉛でも仕込んであるのだろうか?
アスキーの顔面にヒットし、アスキーは仰け反る。
アスキー「いてて! なんだこの包帯、重たいし!」
マミー「侵入者は敵! 男は敵! 近寄らないで!」
2005/06/17 トンズラー
マミーは攻撃を続ける。
ヒュン
アスキー「おわたっ! 結構痛いぞこの包帯! な、なんで俺を攻撃するんだ!」
マミー「侵入者だから! 男だから! 近寄らないで変態!」
パシン
アスキー「ぎゃっ! 痛いって! お、俺は変態じゃないぞ!」
マミー「侵入者+男=変態=敵。そう教わった!」
ビシッ
アスキー「ぐえっ! そんな事、誰に!」
マミー「”あの方”に! いい加減死になさい!」
スパーン
アスキー「ほげー! もうたまらん!」
アスキーは剣で強引に自分に巻きついている包帯を切り、漸く自由な動きを手に入れた。
アスキー「おぼえてろ! いつか俺の愛を教えてやる!」
ダダダダダ
アスキーは逃げ出した!
マミー「・・・・・・」
マミーは追っては来なかった。
アスキー「はあはあ… 酷い目に遭った。 …ん? この馬鹿でかい扉は塔の入口じゃないか…
うろうろしてるうちに、戻って来ちまったって訳か…」
折角リッチに治して貰った身体であったが、既にボロボロになっていた。
アスキーは出直す意味で、一旦塔から出る事にした。
2005/06/20 休息
アスキーはテントに帰還した。
初の塔探索は散々な結果に終わった。
大さそりとの戦闘、敗北。
リッチとの邂逅。
マミーとの戦闘、逃走。
アスキー「この塔の住人はみんな、女の子みたいだな… リッチも女の子っていうかどうかは悩むがな」
アスキーは頭を掻いた。物心付いた時から戦場に身を置き、今までの人生で何人の命を奪ったか定かではない。
それでも彼は偶然なのか必然なのか、これまで女性を殺したことは無かった。
ちょっと悪いことはした事はあったかも知れないが。
アスキー「まいった… 紳士アスキーとしては女の子相手では本気で戦えない。みねうちでは限界があるしなあ…」
テントでごろごろしながら、呟いた。本気で戦えば、互角以上に渡り合える自信はある。
しかし、本気で斬って女の子を殺してしまったら… それだけが心配なのであった。
アスキー「まあいいや。明日、また塔に挑んでみよう。何か新しい発見があるかも知れないしな…」
アスキーは眠りについた。どんな大怪我も一晩寝れば治る。彼の自慢のスキルが発動し始めた…
2005/06/22 再起動
翌日。
アスキーの怪我は見事に完治した。
死んでも一晩立てば復活するとの噂が立った事もある医学の常識を根底から覆す身体構造、それがアスキーの自慢であった。
アスキー「ようし、今日も塔に挑戦だ!」
アスキーは月が天頂に達するのを待って、テントから這い出した。
煌煌と輝く立待月のもと、塔はぼんやりとその姿を現した。
アスキーが魔法の鍵を翳すと、彼の身体は瞬く間に塔の中へと吸い込まれていった…
アスキー「よっしゃ! 今日はちょっと本気出して戦ってみよう!
要は死なない程度に斬ればいいんだもんな。いざとなったら手持ちの蝦蟇の油を使って傷を治して上げればいい。
そうすりゃ感謝の一つもされるだろう。で、美味しい展開に… グフフ」
勝手に斬って勝手に治して、感謝されるのだろうか? そんな疑問は彼は持たない。何故ならINTが低いからだ。
2005/06/26 大さそりがあらわれ……?
アスキーが迷宮の角を7回ほど曲がった頃だろうか。
前から先日見たことある赤い服の少女が凄い勢いでコチラに向かって走ってきた。
アスキー「って貴様は全開俺をボッコボコのギッタギタにした大さ」
大さそり「!丁度良かった、助けてお兄ちゃん!」
アスキー「よろしい助けましょう!
って何から?」
大さそり「アレ。それじゃよろしく!」
アレと指された方を見ると水色のローブをまとった少女が右手に雷撃を集めてコチラを睨んでいるところだった。
?「大地と大気に存在せしマナを基とし光と衝撃の精霊がメンドイので以下略っ!」
……何を言ってるのかINTが低いアスキーには判らないが、
このままじゃとにかくやばそうだという事ぐらいは判断できた。
アスキー「って何で俺がこんな」
文句を言おうと後ろを見ると大さそりは既に遥か彼方へと逃げている。
アスキー「チョット待てええええっ!」
?「喰らえっ!ライトニングなボルトーーーーっ!」
アスキーの叫びは電撃と少女の叫びにかき消された。
2005/06/26
魔法使われ
どかーーーん
アスキー「どはっ!」
アスキーは3ポイントのダメージを受けた!
アスキー「痛いじゃないか! 何なのキミ!」
?「そっちこそ! 邪魔しないで!」
アスキー「邪魔したつもりはナイ! 何者だ!」
?「私は魔法使い! あなたは!?」
アスキー「俺は剣士アスキーだ!」
魔法使いを名乗った少女はあからさまな嫌悪に満ちた眼差しをアスキーに向けた。
魔法使い「け ん し 〜〜!? 剣士っていうと、魔法も使えない人間のクズ。しかも男。しかも侵入者。サイッテー!」
アスキーは見事に魔法使いの敵に認定された。
魔法使い「冗談じゃないわ! 消し炭になりなさい! マハリクマハリタ(以下略)… ファイアボルト!」
魔法使いの杖先から炎が湧き出たかと思うと、それは生き物のように蠢いてアスキーへと向かってきた。
アスキー「げげっ!」
どかーーーん
アスキー「あっちっち」
アスキーは3ポイントのダメージを受けた!
アスキー「くそっ! いい加減にしろ!」
アスキーは魔法使いへと突撃を敢行した。
2005/06/28
わが闘争(逃走)
アスキー「ふっきれた俺様の剣技を見せてやる! オラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
アスキーは素早く魔法使いに接近すると、剣を振るった(とはいってもダガーなのだが)。
ザシュッ!
アスキー「手ごたえあり!」
魔法使いに2ポイントのダメージを与えた!
魔法使いは数歩飛びのいて、痛みに顔を顰めた。
魔法使い「いったーい! 何すんのよ変態! もう怒ったわ!」
魔法使いは再び呪文を唱え始めた。
魔法使い「ナムクシャクシャ… 『これでもくらえ!』」
魔法使いの指先からエネルギー波が放たれる!
アスキー「くらったあああ!」
アスキーは3ポイントのダメージを受けた!
アスキー「くそっ! 接近戦ならこっちが有利なはず! でやああ!」
アスキーは間合いをさらに詰め、魔法使いに飛びかかる。
魔法使いはしつこく呪文を唱え続ける。
魔法使い「まだまだ! ショック効果がある魔法なら問題ナッシング! えいっ! 『氷の嵐』!」
魔法使いの杖から無数の氷の飛礫が湧き出てはアスキーめがけて飛来する。
アスキーは魔法使いまであと1馬身、というところで氷に弾き飛ばされた。
アスキー「ぎゃぴり〜ん!」
アスキーは3ポイントのダメージを受けた!
アスキー「な、なんかコイツ、ハイレベルな魔法使いやがって…!
でも、そろそろ体力が尽きるはず! 突撃ー!」
アスキーは怯む事無く魔法使いに突撃を敢行。その猪ぶりや馬超のごとしであった。しかし・・・
魔法使い「ええい! いい加減くたばりなさい! この魔法だけは使いたくなかったわ! 『地獄の爆発』!」
アスキーの眼前に魔力の煌きが集中していく。
アスキー「な、なんだこれは!」
魔法使い「・・・3 ・・・2 ・・・1 ・・・0!」
どかーーーーん!
アスキーは爆風に吹っ飛ばされた!
アスキー「ほわっ ほわっ ほわっ」
アスキーは3ポイントのダメージを受けた!
アスキー「・・・もう嫌だ! 今に見ておれ!」
アスキーは逃げ出した!
2005/06/29 再会
アスキーは逃げた。
後ろも振り返らずに逃げた。
アスキー(もしかして俺… 弱い?)
AGIには自信があるアスキー、漸くにして魔法使いの追撃を振り切った。
アスキー「はあはあ・・・ 息が切れる! 逃げ切ったぜ、ざま見そかし! ・・・むむっ、あれは・・・?」
アスキーが一息つくと、見覚えのある女の子の姿が見える。
あれは、魔法使いにアスキーを差し出して逃げ出した、おおさそりではないか。
アスキー「こらっ! お前よくも!」
大さそりはこちらに気付いた。ごまかし笑いを浮かべて、頭を掻いている。
大さそり「お、お兄ちゃん無事だった・・・? あはは、さっきはゴメンねー。焦ってたからつい、逃げちゃったの!」
アスキー「言い訳はいい! なんだよさっきの魔法使いは! ひどい目にあったぞ!」
大さそり「いやー、あの娘の大事にしていた頭巾に穴開けちゃってさー。怒ると見境ないのよね・・・」
アスキー「ふむ。まあいい、今度は二人がかりでいくぞ。俺一人じゃかなわん、お前が居れば勝てるかもしれん」
大さそり「お兄ちゃんアタシより弱いモンねー。ていうか何で死んでないの?」
大さそりは以前アスキーと戦っていたことを覚えていたようだ。
アスキー「あれは俺が手加減したんだ! お前の実力じゃない! 確かに死にかけたけど、リッチという骨に助けられたんだ」
大さそりはアスキーの言葉を前半は笑って聞いていたが、後半で訝しげな顔に変わった。
大さそり「お、お兄ちゃんリッチに会ったの!? しかも助けられたって・・・ ホントに?」
アスキー「ああ、お陰さまでお前ともこうして喋れるようになった。これを証拠と捉えて貰っていい」
大さそり「・・・・・・・ わかったわ。リッチが助けたんだからお兄ちゃんは見所あるわ、きっと。よし、ふたりで魔法使いを倒しましょう」
大さそりが仲間になった!
2005/07/01 パーティ名「大さスキー」
大さそり「お兄ちゃん語呂悪ぅ」
アスキー「うるさい。所でさっきからその『お兄ちゃん』って何なんだ」
大さそり「あぁ、困った時は世の男性諸君に『お兄ちゃん』と呼べば助けてくれるって言ってたから」
アスキー「誰が」
大さそり「4階の飲んだくれじいさん」
アスキー「……」
閑話休題。
とにかく魔法使いだ。
2005/07/03
電撃的奇襲作戦
大さそり「秘密の抜け道があるわ。そこを使えば誰の邪魔も入らずに魔法使いのアジトに辿り付ける。こっちよ・・・」
大さそりは壁をしげしげと見ながら歩いていたかと思うと、ひたと止まり壁の石垣を一枚剥がした。
そこにはボタンのようなものがあり、少女はニヤリと笑うとプチッと押した。
ゴゴゴゴゴ
壁がゆっくりと回転を始める。そして、そこには地肌の露出した人一人通れる位の道が、塔の奥へと向かって延びていた。
アスキー「こ、これは!」
大さそり「10年くらい前、退屈を持て余してほかの娘と一緒に掘ったのよね・・・ 魔法使い、頭はいいんだけど天然だから未だに気付いてないの」
アスキー「??」
10年くらい前、というフレーズに一瞬違和感を感じたアスキーであったが、聞き間違いだろうと思い直しスルーした。
大さそりの導きによって、アスキーは魔法使いの本拠地であるウロボロスの塔の一隅にある部屋の前に到着した。
アスキー「よし、行くぞ! 準備はいいかー!」
大さそり「ばっちりよー!」
アスキー「よーしいい子だ! 我々はー! 今日! 積年の恨みを晴らしー! 勝利を手にするー!」
大さそり「わーわー!」
アスキー「電撃的な奇襲によって! 敵を殲滅する! 作戦名、『迷宮の砂嵐』! 総員配置につけ! 作戦開始!」
大さそり「らじゃー!」
アスキー「どうりゃあ!」
ドーン
アスキーは部屋の扉を思いっきり蹴っ飛ばしてぶち破った。勇ましく名乗りを上げる若き剣士。
アスキー「やあやあやあ、我こそは・・・」
バリバリバリ
アスキー「ふぎゃあ!」
電撃の魔法がアスキーに炸裂!
魔法使い「部屋の前で、ぎゃあぎゃあ騒がないでくれる? 五月蠅くて昼寝してたのに起きちゃったじゃないの!」
2005/07/04 気分はボス戦(EXPゼロのくせに)
アスキー「完璧な作戦の筈が・・・」
大さそり「お兄ちゃんが騒ぐからいけないのよ!」
魔法使い「アンタも騒いでたでしょ! ていうか大さそり! 裏切るっていうわけ?」
魔法使いの機嫌は極悪だ。大さそりをキッと睨み付ける。
大さそり「別に『あの方』を裏切るわけじゃないもん! 頭巾に穴開けた位で怒り狂う貴方にちょっとおしおきするだけだもん!」
魔法使い「なんですってぇ〜!」
大さそり「貴方はいつだってそう! アタシがおやつに取っておいたイモリの黒焼きを魔法の研究に使うとか言って没収したり、アタシがおやつに取っておいた蟇蛙の天麩羅を魔法の研究に使うとか言って没収したり、アタシがおやつに取っておいた…」
数十分に及ぶ、大さそりの独白が始まった。魔法使いへの蓄積された不満が爆発した。
大さそりは感情的になって泣いていた。恨み言の9割が、食べ物についての恨みだった。
アスキー「お前、食い意地張ってるな・・・」
大さそり「うるさい!」
魔法使い「ええい猪口才な! もういいわ! ふたりまとめてかかってらっしゃい! 煮込んでポーションにしてあげる!」
アスキー「なにおう! 行くぞ大さそり!」
大さそり「応! おやつ返せ〜!」
こうして戦いが幕を開けた。
2005/07/06 激戦
魔法使い「地獄に落ちなさい! カッカザーン!」
魔法使いの杖先からマグマがほとばしる!
アスキー「あつい やけどをした」
アスキーはやけどをした。
大さそり「お兄ちゃん!?」
魔法使い「アンタにはこれよ! アサシャーン!」
魔法使いの杖先から熱湯がシャワーのように放射される。
大さそり「あっつーい! 何すんのよ!」
大さそりはやけどをした。
アスキー「あの杖が悪い! 何とかしないとホントに煮込まれちゃうぞ!」
大さそり「杖を奪えば何とかなるかも・・・」
アスキー「どうしよう…」
大さそり「取り敢えず、突撃しなさい!」
アスキー「お前は?」
大さそり「逃げるわ!」
大さそりは逃げ出した!
アスキー「・・・・・・お〜い」
魔法使い「ふふ、所詮人間とアタシ達は相容れないのよ!」
アスキー「くっそお! もうやけだ!」
アスキーは魔法使いに突撃!
魔法使い「えいっ! ボットラー!」
アスキー「ぐわー、まだまだー!」
アスキーはしつこく襲いかかった!
魔法使い「えいっ! ブリザラ!」
アスキー「ぐわー、まだまだー!」
アスキーはしつこく襲いかかった!
魔法使い「えいっ! ベギラマ!」
アスキー「ぐわー、まだまだー!」
アスキーはしつこく襲いかかった!
魔法使い「えいっ! エネルギーボルト!」
アスキー「ぐわー、まだまだー!」
アスキーはしつこく襲いかかった!
魔法使い「えいっ! ヴァルキリーズジャベリ・・・ えっ?」
魔法使いが杖を振り上げたとき、その杖に鞭のような物が絡まると、魔法使いの腕からもぎ取った。
アスキーに集中していた魔法使いは、一瞬何が起きたかわからず呆気に取られた。
魔法使い「な、何っ!?」
魔法使いは、上を見た。
大さそりが塔の天井の石版を一枚外し、そこから覗き込んでいる。
大さそりの鞭の先端に、魔法使いの杖はぶらぶらとぶら下がっている。
大さそり「実はこの部屋、天井にも抜け穴掘ってあったのよね… 貴方にばれないように掘るの大変だったわ・・・」
魔法使い「し、しまった!」
アスキー「大さそり! 俺は信じていたぞ!」
大さそり「ホントに〜?」
2005/07/08 善悪逆転
魔法使い「アンタ達! 卑怯よ! 二人がかり&計略なんて!」
アスキー「狡い卑怯は敗者の戯言! コンビネーションプレイとでも言って頂こうか!」
大さそり「でもお兄ちゃん、ゼッタイ信じてなかったでしょ?」
アスキー「そんな昔のことは忘れた! そんなことより今が勝機ぞ! 勝鬨を上げよ! 軍楽隊はラッパを鳴らせ、全軍、突撃ィー!」
大さそり「わーわー!」
魔法使い「ちょ、ちょっと待っ・・・」
魔法を封じられ、魔法使いには最早反撃する術は無かった。
あっという間に魔法使いはとっ捕まられ、アスキーの手でローブを剥ぎ取られ、下着姿にされた挙句十字架に磔にされてしまった。
アスキー「うむ、我ながら上出来な捕らえっぷりだな」
大さそり「なんで下着姿なの? なんで十字架なの?」
アスキー「美女を捕らえたときのシチュエーションって、こんな感じじゃなかったっけ?」
大さそり「なんかマニアック〜」
魔法使い「ちょっと何よコレ! 恥ずかしいわ、やめて頂戴!」
魔法使いは顔を赤らめながらジタバタするが、両手両足を縛った縄はびくりともしない。
アスキー「ふ、アスキー流捕縛術の粋を極めたこの縛り、君の力では解く事叶わぬわ」
大さそり「剣術は大したこと無いのにねえ」
アスキー「それを言うな! …とにかく君は脱出不能だ」
魔法使い「…アタシをどうするつもり?」
自由の利かない状態であることを悟った魔法使いはアスキーに訊ねた。
何時もの強気な言動は鳴りを潜め、擦れる様に絞り出された言葉は怯えを含んで少し震えた。
アスキー「さあて、どうしてくれようかな・・・」
アスキーは不敵な笑みを浮かべると、口笛を吹いた。
2005/07/09
ふぁいなるあんさー
A:このまま杖を没収
B:ついでに身ぐるみはぐ
C:身ぐるみはがない代わりに軽く胸ぐらいもまれる
D:直接的性描写
アスキー「4択です」
大さそり「うわぁ……」
魔法使い「D」
「「うそっ!?」」
思わず大さそりと声を合わせて驚いてしまう。
魔法使い「…は論外っ!
書き込むときのお約束を読みなさいよ!」
アスキー「うむ。何だか判らんが俺もその選択肢を選ばれると困る」
大さそり「という訳でDは消えます〜」
A:このまま杖を没収
B:ついでに身ぐるみはぐ
C:身ぐるみはがない代わりに軽く胸ぐらいもまれる
アスキー「さて、どれでファイナルなアンサーで承認ですかな?」
2005/07/09 その時物語が動いた
アスキー「さぁ、さぁ、さぁ! どうして欲しい? グフフ・・・」
大さそり「お兄ちゃんはCを期待してるわ! 魔法使い、Cは選んじゃダメ!」
アスキー「お前どっちの味方なんだよ!」
大さそり「女としてCは認められないわ! 性差別反対!」
アスキー「くっ・・・」
魔法使い「AもBも困るわ… ああ… どうしましょう…」
その時。
場の空気が突如として重くなったような気がした。
状況に変化は無い。だが、何かが違う。空気が澱んでいる様な、身体が空気の重みを感じてしまうような、そんな雰囲気になった。
アスキー「な、なんかどんよりした雰囲気が」
大さそり「重苦しい感じ・・・ 葬式みたいな?」
魔法使い「感じる・・・ このずーんと重いオーラは・・・」
???「・・・・・・魔法使いを放しやれ・・・・・・」
アスキー「誰かが喋った!」
大さそり「ど、どこから・・・ って! 身体が動かないわ!」
アスキー「なにっ! ほ、ほんとだ! 金縛り?」
???「・・・・・・無駄じゃ・・・・・・主らは最早この邪眼に絡め取られた・・・・・・動くこと叶わぬ・・・・・・」
謎の声は近付いて来た。
アスキー達と魔法使いの間に悠然と立った人物は、異国の物であろう暗い色彩の服装に身を固め、小さな珠が連なって輪になった装飾品を手に持った女性であった。
流麗に梳られた漆黒の長髪、静かに閉じられた両眼・・・ その容貌をしげしげと見るや、アスキーは驚愕した。
アスキー「め、目が3つある!?」
そう。彼女の額には、大きく見開き真紅の輝きを放つ、「目」があったのだ。
???「・・・・・・目は2つと・・・・・・誰が決めた・・・・・・?」
魔法使い「三目! 助けに来てくれたのね!」
2005/07/12
三目がとおる
大さそり「み、三目? なんで貴方が一階に・・・?」
大さそりが訊ねた。どうやらこの二人も知り合いらしい。
三目と呼ばれた黒髪の美女は閉じられた両目を開く事無く、只額に輝く瞳を大さそりに向け、答えた。
三目「・・・・・・偶々・・・・・・通りかかった・・・・・・」
その答は何処か嘘めいて聞こえた。
大さそり「たまたまって! 守備階層を動くのはタブーでしょ! 私たちが顔を合わせるのは、満月と新月の集合時だけ。おかしいわ! こんなことは今まで無かった!」
アスキー「な、何がなんだかわからんぞ! お前等一体何の話してるんだ!」
三目はアスキーのほうを見ると、言った。
三目「・・・・・・成程・・・・・・ 彼奴の言うとおりの男じゃな・・・・・・」
2005/07/14
悲劇的展開
三目「・・・・・・くっくっくっ・・・・・・暫くぶりに面白くなりそうじゃ・・・・・・というわけで魔法使いは頂いて行く・・・・・・」
三目は両目は閉じながらも、不気味な笑いを浮かべて言った。
魔法使い「み、三目!?」
三目「・・・・・・魔法使いを返して欲しくば・・・・・・強くなって取り返しに来やれ・・・・・・待って居るぞ・・・・・・」
魔法使い「ちょ、ちょっと三目! 貴女、助けに来てくれたんじゃなかったの!?」
三目「・・・・・・気が変わった・・・・・・」
魔法使い「ぶっ!」
三目は魔法使いに向けて、額の目を更に大きく見開いた。その眼からは淡い赤い光が放たれ、魔法使いを直撃した。
魔法使い「う! うう・・・」
魔法使いは気を失った。
三目は魔法使いを縛る縄を手で解くと、ぐったり倒れている魔法使いを担ぐと、こう言った。
三目「・・・・・・さらばじゃ・・・・・・」
アスキー「ま、魔法使いー!」
大さそり「チッ! 相変わらず動けないわ!」
アスキー「くっそー! 魔法使いを返せー!」
大さそり「魔法使いは返されたくないだろうケド」
アスキー「魔法使い! 待ってろ! すぐ助けに行くからな!」
大さそり「あの娘もけっこう不幸よねー」
三目は去っていった。
姿が見えなくなって、どれ程の時間が経ったのだろうか。
漸くアスキー達は身体の自由が利くようになった。
アスキー「はあはあ・・・ やっと動けるようになった」
大さそり「背中が痒かったのに手が動かせなくて地獄だったわ・・・」
メインメニューにもどる
第二章へ
第三章へ
第四章へ